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石へのこだわり
銘石の郷から
数千万年という時間をかけて、地殻変動により隆起した山々がわたしたちの目前に姿を現す。日本の銘石は気の遠くなるようなスケールで育まれ、その存在自体に悠久の歴史を内包しています。石経石材は、日本が誇る銘石の数々を各産地との信頼の絆のもとお届けしています。
石を採掘する場所は古来より「丁場」と呼ばれ、山への畏敬の念と感謝なしには入ることのできない極めて神聖な場所です。石を切り出す職人たちも、何代にもわたってその技と心を受け継いできました。
唯一無二の墓石づくりは、まずは素材である石にこだわることから始まります。墓石に適した石は全国各地から採掘されます。
厳選された庵治石のほかにも、愛媛の大島石、岡山の万成石、佐賀の天山石、宮城の伊達冠石など日本の風土に合った選りすぐりの銘石からお好みの原石をお選びいただけます。
良い石の条件
銘石とひとくちに言っても、各産地においてその石質はさまざまで、その用途もさまざまです。何十年と受け継がれていく墓石づくりにおいて重要視されるのは、その耐久性でしょう。石目を見分け、キズの有無を調べることは言うまでもなく、耐久性を左右する吸水率の高さや硬度、ねばりなど強度に関する項目はすべての工程で厳しくチェックされます。電子顕微鏡などによる検査も可能な時代ですが、良い石の見極めの正確さとスピードにおいては現場の匠の目に勝るものはありません。
ほかにも石目の細かさや石肌の色、艶、模様などで、さらに良質なものだけが選び抜かれていきます。不合格となったものはすべて廃棄され、市場に流通することはありません。このように徹底した品質管理が行われるため、実際に墓石として製品化されるのは全採掘量の3〜5%にすぎない、という産地もあります。石経石材ではそういった希少な銘石にこだわり、各丁場とのリレーションシップにより安定的に供給しています。
石を探す
広い、広い、丁場。香川・庵治石の丁場では“どこに良質の原石があるのか掘ってみなければ分からない”と採掘の匠は言います。いわばダイヤモンドの採掘と同じ。「採掘」は匠の経験と技術が大きく物を言う、墓石づくりの第一歩です。良質の原石をできるだけ大きな塊で採掘できるように、岩盤にある断層やキズ、石目を見極めながら、火薬を仕掛ける穴の数や場所、量を決めて発破します。衝撃により石が持ち上がり、かたどることができるのです。
対策は万全か、そしてそこには良い石があるのか……。丁場が最も緊張感に包まれる瞬間です。
小割された原石はいよいよ加工場へ運ばれます。パワーショベルやクレーンといった重機がここで登場します。万全の安全対策のもと、原石はトラックに積み込まれ、丁場から運び出されます。山を降りた原石は、加工の匠たちが待つ工場へと向かいます。※写真と文章はすべて香川・庵治石の丁場のものです。
石を割る
発破によりかたどられた原石を、運びやすい大きさに割ります。「大割」と呼ばれるこの工程では、職人が石に水をかけて石目やキズを見極めながら、削岩機で穴を開けて楔を打ち、金槌で叩いて割っていきます。熟練の技なしにはできない作業です。巨大な原石にただひたすら人力で立ち向かう、その作業の迫力にきっと圧倒されることでしょう。
さらに大割された石を注文の寸法に合わせて割っていく「小割」という工程に移ります。どこを割るのが良いのか、その位置を見極める墨かけという作業にも、匠の経験と勘が欠かせません。
石を切る
まず山から降りてきた原石を、注文通りの形に切る「切削」という作業があります。丁場で見分けられなかった細かなキズや石目のムラもチェックし、さらに切断機の刃を入れる場所を見極めるのが、加工の匠の大切な仕事です。位置が決まったら、幅2.5〜3mにもおよぶ巨大な切断機が稼働。高硬度の原石に対応するため、ダイヤモンドのチップを埋め込んだ特殊なブレードを備えています。水しぶきをあげながら、石がカットされていく光景はダイナミックそのもの。職人たちの厳しい目が見守るなか、こうして面を出された石は磨きの工程に移され、さらに細かな加工へと進んでいきます。
石を磨く
原石を、銘石へ。石肌を磨いていく「研磨」の工程は、それぞれの石の特長を出し、耐久性を高めるために欠かせない作業です。何種類もの砥石を使い分け研磨を重ねることで、独特の光沢ある魅力的な石肌をつくり、長年の風雪にも耐える耐久性を引き出します。機械で研磨できない部分は、職人の手でひとつひとつ丹念に磨かれ、その品質にムラが一切出ないよう仕上げられていきます。
石を極める
磨き上げられた原石は、いよいよ墓石として「加工」の工程に入ります。切削された石に、匠たちが一つ一つ手作業で加工を施していきます。最高峰の銘石であればあるほど、石質は硬く、ねばりを持つため “職人泣かせ”といわれます。そんな銘石に細部にいたるまで、きめ細やかな加工を施すのは、まさに熟練の匠の技。バックボーンにある長年の経験と勘、そして石への熱い思いが手間暇のかかるこの作業を支えています。石に向き合う一瞬たりとも息を抜けない作業の連続により、石に永遠の命が吹き込まれていくのです。
こうして幾つもの工程でそれぞれの匠たちがこだわりを貫き、墓石は完成します。もちろん石目や色合わせに不具合が出たり、キズや黒玉が出たりした場合は、どの時点であっても、原石からのやり直しとなります。このような揺るぎない品質へのこだわりが、銘石の郷には常に息づき、墓石にこだわる施主さまの熱い信頼と確かな満足につながっています。※写真と文章はすべて香川・庵治石の丁場のものです。
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